2012年10月17日水曜日

多様な人が集まる中、海外で身につけたタフさが活きています!/ライフネット生命保険株式会社

多様な人が集まる中、
海外で身につけたタフさが活きています!


             加藤あゆみさま

『海外経験とキャリア』今回はライフネット生命保険株式会社(以下:ライフネット)お客さまサービス部で保険査定業務を行っている加藤あゆみさんにインタビューをしています。
海外経験者の体験談を共有することで、みなさまが海外に出る際のお役に立てば幸いです。

加藤さんは学生時代にアジア各国で短期ボランティアを経験後、保険会社に入社。5年働いた後に退社し、その後は1年間イギリスとマラウイ(アフリカ南部の発展途上国)で現地の支援活動を行っていました。現在はライフネットで活躍されています。

インタビュアーは「留学仲間」より久保田極光と山下のぞみです。

久保田 インタビューの機会をいただきありがとうございます。早速ですが、加藤さんが海外、特に発展途上国に興味を持ったきっかけを教えてください。

加藤 高校生の時に青年海外協力隊の方の講演を聞いたのがきっかけです。講演内容が国際協力に抱いていた想像と違う内容に衝撃を受けました。

発展途上国で協力隊の方が現地の人とケンカをしながらも活動してきたエピソードがあったのです。

その講演がきっかけで発展途上国に興味を持つようになり、大学進学後は夏休みを利用してアジア各国にボランティアに行くようになりました。

久保田 ケンカですか?!青年海外協力隊のイメージとは違いますね。
アジア各国のボランティアではどのような活動をしていたのですか?

加藤 フィリピン、中国、カンボジア、マケドニアなどで家を建てるお手伝いや、植林、子供たちと遊ぶボランティアをしました。


久保田 大学卒業後は保険会社で5年働いた後に退職し、イギリスとマウライに合わせて1年間行ったとのことですが、どのような経緯だったのですか?

加藤 大学時代から、いつかは長期で海外に行きたいと考えていました。仕事が楽しく行くことを迷っていましたが、「いつまでも迷うのであれば、行こう!」と思い切りました。また、年齢を気にしていたところもあります。帰国後に再就職するのであれば20代が良いのではないか?!と思っていました。

久保田 思い切りがすごいですね!発展途上国ではどのような活動をしたかったのですか?

加藤 発展途上国で生活をしながら現地の方と話し、そして彼らと同じモノを見たいと考えていました。
ただ、発展途上国にいきなり行ったとしても、私に出来ることは少ないと思っていたので、トレーニング付きのプログラムに参加しました。語学や発展途上国で役立つスキルを取得するトレーニングを半年イギリスで積み、その後発展途上国に行くというものです。

久保田 イギリスでのトレーニングはどのようなものでしたか?

加藤 一言で表すと『過酷』です。生きている中でこれより辛いものはないと思いました。

久保田 『過酷』ですか?!

加藤 参加する前に思い描いていたプログラムと違っていました。
語学や発展途上国についての勉強を通して、マラウイで役に立つスキルを学ぶトレーニングだと思っていたのですが、実際は路上での募金活動がほとんどでした。また、集まったお金が寄付に使われるのではなく、私自身のマウライへの渡航費になる募金活動でしたので、活動の意義を見いだせませんでした。
マラウイへの渡航費を稼ぐ為に、路上に立ってお金を集める日々は本当に苦痛で、日本への帰国を考えました。

久保田 帰国しなかったのですか?

加藤 考え直して帰国をやめました。
イギリスで出会った友達の支えのおかげです。韓国、ブラジル、ヨーロッパからの参加者がいたのですが、困難を共に乗り越え、とても強い絆で繋がれていました。

また、自分が何の為にイギリスに来たのかをもう一度考えました。私はマラウイで生活し、現地の様子をこの目で見る為に来ましたので、現地に行かずして、帰国するのは「逃げ」なのではないかと考えました。

久保田 思っていたものと実際のトレーニングが違っていたとのことでしたが、出発前にそのギャップを埋めるにはどうしたら良かったと思いますか?

加藤 情報収集をしっかりと行い、複数の情報を比べていれば良かったと思います。1つの情報だけですと、偏った情報を得る危険があります。



久保田 「留学仲間」でも留学情報をオープンにすることで、各自が最適な選択をするお手伝いをしたいと思っています!
実際に訪れたマラウイの生活はいかがですか?

加藤 イギリスの過酷な生活を乗り越えた人は、マラウイに行って諦める人が少ないと言われていました(笑)。

仕事は現地の幼稚園をスムーズに運営する手伝いでした。例えば、幼稚園を見回らないと先生達が学校に来ないこともあるので。

久保田 日本と環境や文化の違いは多々ありそうですね。仕事で大変なことはありましたか?

加藤 現地のスーパーバイザーとのやり取りが大変でした。彼らは英語と現地の言葉を話せる唯一の仲介役ですが、考え方や生活スタイルの違いで衝突することがありました。
時間を全く守らないスーパーバイザーを叱ったのですが、関係がぎくしゃくしただけで解決にはなりませんでした。
お互いに良い方法はないかと悩み、現地にいた日本人の先輩に相談しました。人前で叱っていたのをやめ、時間を守る気が起こるように仕組み作りをした結果、遅刻が無くなり、お互いの関係も改善していったと思います。

久保田 高校生の時に講演で聞いた協力隊の話のように、衝突する日もあったのですね。

加藤 そうですね(笑)。

久保田 加藤さんご自身に変化はありましたか?

加藤 忍耐力が付きタフになりました。また、モノを捨てられるようになりました。
工夫次第でモノがなくても生きていける。笑っていればなんとかなる。と思うようになり、考え方がシンプルになりました。

久保田 帰国後にライフネットを選ばれた理由はありますか?

加藤 選んだというより、拾ってもらったという方が正しいかもしれません。帰国後に様々な会社の面接を受けたのですが、保守的な会社が多いと感じました。「はみ出した人」を受け入れてくれる会社はあまり多くないと。
他社の面接では怒られる事もありましたし(笑)。

ただ、ライフネットの反応は違いました。海外での私の体験を「むしろ、いいじゃない!」と受け入れてくれました。

久保田 今の仕事に海外経験がどのように活かされていますか?

加藤 ときには落ち込むこともあります。ただ、イギリスでの募金活動の過酷さを乗り越えられたのだから大丈夫だと思えるようになりました。海外で得たタフさが活かされていると思います。

(ここでインタビューに同席されていた、ライフネットのマーケティング部門で広報を担当されている吉川礼瀬さんより一言)

吉川 ライフネットでは留学や海外経験を含め、様々なバックグランドを持つ好奇心旺盛な社員がたくさん働いています。加藤がイギリスとマラウイでの話をすることによって、社内に新鮮なトピックを持ち込んでくれました。好奇心旺盛な社員は新しいトピックが大好きですので、社内のコミュニケーション活性や知的好奇心の刺激に結びついています。
そこから、新しい考えなども生まれ、当社のビジネスにも還元されていると思います。


吉川礼瀬さん

久保田 「多様性」が強みになっているのですね。
最後になりますが、今後海外へ出られる方へのメッセージを聞かせてください。

加藤 今後海外へ出られる方、特に社会人で仕事を辞めていかれる方は、出発のことに目を向けがちですが、帰国後の心とお金の準備をしておくことが大切だと思います。もちろん情報収集も。

税、保険、年金の手続きも含め出発の準備と同じくらい、帰国後の手続きも大変でした。
帰国後の進路のことを考えると、学生の時に海外に行くのはメリットが多いと思います。帰ってきてから無職になるのではなく、学生という肩書きがあるのは、世間から見た時にとても有利だと思います。

久保田 山下 本日はありがとうございました。



吉川さん 山下 加藤さん